15. 風の谷のいちご(4)ー自動化ー
こんにちは。
ASTROBERRYでは、Arduinoを使ってコツコツと自動化を進めていますのでご紹介いたします。
ArduinoやRaspberry Piはマイコン(マイクロコントローラ)と呼ばれるボードで、電子工作初心者でもDIYで使える小さいコンピューターです。
パソコンでプログラムを書いて(あるいはコピペして)それをボードに書き込んで使います。
ボードにセンサーや装置を繋いでおけば、それらを動かすことが可能になります。
例えばLEDを繋いでおいて、それを点灯させるプログラムなど。
// 上の写真は初めてハウスに取り付けたArduino。徐々にセンサーやボードが追加されていき、今はこんな感じです。この後また別のボード(モーターを動かすためのもの)を追加します。隙間がなくなってきたのでボックスの側面も利用しています。
こういったボックスがハウス4棟に対して1つずつくらい取り付けられています。
下の写真はハウス8棟分を動かせるようになっているボックス。
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弊社では以下のような装置を作っています。
// ハウスで計測しているもの(その1)
" 温度・光・降雨 "
// それで動かすもの(その1)
" 遮光カーテン "
→ハウスが熱くなったら遮光カーテンを閉めて光(熱)を遮断します。
→この時、光も計測しておくことで(熱い & 明るい)場合にのみカーテンが閉まるようにします。
→ハウスが暗い時は遮光カーテンは開け、光を取り込みます。
// それで動かすもの(その2)
" 換気装置 "
→ハウスが熱くなったら換気をし、熱を外に逃がします。
→ハウスが寒くなったら換気はせず、ハウスを保温します。
→雨が降っている時は植物が濡れないように換気を調整します。
// ハウスで計測しているもの(その2)
" 土の温度・土の湿度・土のpH "
// それで動かすもの(その3)
" 灌水装置 "
→土壌の状態を見て、水を増やしたり減らしたり。
// それで動かすもの(その4)
" 肥料やそのpH "
→pHの変動がある時は植物の肥料吸収と関係があるため調整をします。
→pHの調整は数値を見ながら手動で行います。
// 計測データを確認できるようにする。
→現在はデータ通信に使っているSIMカードの会社(SORACOM)が提供してくれているダッシュボードを使っています。
→Arduinoでも同様にダッシュボードが使える(Arduino cloud)ので今後はそれも使う予定。
→確認画面は以下のような感じです。現在の値はメーターで、値の推移はグラフで表示しています。
こちらのスクリーンショットは12月8日の朝8:09のもの。ハウスの温度は-0.6℃。土の温度も0.3℃です。(寒い)
スマホからも、パソコンからも見られるため、社員も仕事中に確認できます。
// 出荷はこの日をもって終了しています。もし栽培期間中であれば、もっと暖かくしないとですね。
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ということで、以上が自動化の現状です。
これを全てのハウスに取り付けていき、数値を見られるようにしたり、数値に応じて環境を調整したりするということをコツコツアップデートしています。
イチゴの栽培層の地中部分には水(あるいはお湯)を通すためのパイプが入っていて、必要に応じて根の周りの温度を下げたり(上げたり)できるようになっていますが現在は使っていません。理由は、常時水やお湯を通していると勿体無いし、効果が分かりにくく使い所が難しいためです。
しかし、地中の温度を計測していれば閾値を設定しておいてその温度の範囲外になったら水やお湯を通すということも出来るようになります。
その他、どういうセンサー(カメラなども含む入力全般)を使って何をするか(あらゆる機器を利用した出力全般)は工夫次第です。
ちなみに次に作るのは人がいない時間帯に自動で肥料や農薬を散布したり、ハウス内の温度が高い時に細霧でハウスを冷却したりするミスト装置です。これが自動化できると作業的にはかなり助かりますし、いちごの生産性も上がります。
来期は会社の拠点(大鹿村)からかなり離れたハウスでも取り入れて、遠隔での実証を試みます。そのためにはプログラムの書き換えをオンラインでできるようにしておくなどのアップデートも必要になります。どうしたらできるかを考え、調べ、改良していき、うまく動いた時はもうめちゃ楽しい。なかなかできなかったことができた時なんて嬉しさのあまり叫び、ガッツポーズし、小踊りします。
この面白さを共有するため、社内でも勉強会などを開催して学んでいきたいと考えています。
Arduinoはプログラミングの経験が全くなかった私でもある程度できるようになったので、プログラミングの経験がなくても目的さえあれば大丈夫です。
機械類も使うため、電気や機械のこともある程度知っていくとグッと楽しくなります。
こういうことも仕事に活かしていけるというのは農業の懐の深さ。
非常に面白いです。
坂井