2. 温度と夏いちご
前のブログで、花芽の形成を決める日の長さといちごの収穫時期について書きました。
花芽の形成可能時期から考えるといちごの収穫終了時期は6月下旬頃となります。ですが、実際は6月の下旬にいちごはほとんどありません。
6月にいちごが無い理由には、温度が関係しています。
いちごの生育には比較的涼しい気温が適しています。
適温は日中が24〜30℃ほど、夜間が5〜15℃ほどです。
日の長さが短く、涼しい気温を好む。
そのため冬から春にかけて日中と夜間の気温が適温条件に近い場所が栽培に適しています。太平洋沿いの温暖な地域は最適です。
そのような地域で適温を維持できるのは概ね5月まで。6月になると外気温は30℃を超える日も出てきます。いちごを育てているビニールハウスの中は外気温より5〜10℃ほど高くなりますからハウス内の気温は35〜40℃ほどになります。
このくらいの気温になるといちごの生育には適さなくなります。
・花粉がうまく受粉しなくなる
・果実が柔らかくなる
・葉が柔らかくなる
などの変化が生じます。
夏いちごも生育適温は同じ
日の長い環境で花芽を形成する夏秋いちごも、生育適温は普通のいちごと同じです。夏に花が咲くからといって生育適温が高いわけではありません。
夏の日中に30℃前後、夜は15℃前後。そんな環境が栽培に適していますから、北海道や長野県のある程度標高の高い地域が栽培に適しています。
ただし、春や秋が寒すぎるような場所は向きません。暖房費が嵩むのは栽培の支障です。春や秋になるべく暖房を使用しなくても良い程度、それでいて夏が涼しい場所。
栽培に適した地域は限られています。
私たちの農場がある大鹿村はそんな条件を備えた場所です。
晴天率が高く、台風の影響も受けにくい地形で、夏秋いちご栽培にはとても向いています。
次回のブログでは夏秋いちご農場の1年をご紹介いたします。